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絶対音感

7/23/2014

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突然ですが、わたくしniuは絶対音感を持っています。
ご存知のことかと思いますが、絶対音感とは聴いた音の高さを自動的に脳内でドレミに変換することのできる能力です。
「すごい!」と言われることが多いこの音感ですが、別に大したことじゃありません。
例えばこの色は何か?と聞かれたらあなたは何と答えますか?
多くの人は「赤」と答えるでしょう。ではなぜ赤とわかったのでしょう?そもそも色の違いとは何なのでしょう?
物を見るということは、目に入ってくる光を目の中の神経が捉えて脳に伝えているということです。
この時に目に入ってくる光の波長の違いによって知覚される色は異なります。
波長の長い光は赤く、波長の短い光は青く見えます。
みなさんは小さい頃から波長の長い光を見た時に「これは赤い色だ」と教わります。
だから赤い物を見た瞬間に何も意識することなく赤色だということがわかります。
絶対音感も同じようなものです。
音は空気の振動です。光は空気の振動ではありませんが、光も振動という性質は持っています。
光では色の違いが波長の違いだったのに対し、音では波長の違いが高い・低いという違いとして知覚されます。
絶対音感を持っている人は小さい頃からピアノ教室などで楽器の音を聴きながら「この音はド」「この音はレ」「この音はミ」…というように教わります。
赤いものを見て「これは赤だ」と言えるのと同じように、特定の高さの音を聞いたら「これはドだ」と言えるわけです。

微妙な音具合

ところで、赤と言ってもいろいろあります。
これは赤です。
これも赤です?
じゃあこれはどうですか?
これは?
人によっては全部赤かもしれないし、それぞれに違う色名を答えるかもしれません。
それは受け取る人がどれだけ色(=光の波長)を細かく分類して記憶しているかによります。
絶対音感も同じです。
言葉で説明するのは難しいですが、普通のドの音よりちょっと高い音が鳴っていた時、
これをドの音だと感じる人もいればドよりちょっと高い音だと感じる人もいます。

ミとファの中間くらいの音を聞いた時、これは高めのミだと感じる人もいれば低めのファだと感じる人もいるし、人によっては別の名前の音と感じるかもしれません。
ちなみに私には左の音はファなような気がするけどちょっと低い音と感じます。
音感の感度は千差万別です。中にはとても鋭い音感を持っている人もいます。
そういう人はちょっとでも「ドレミファソラシ」から外れた音を聞くとすごく気持ち悪く感じるといいます。
上の音を聴いて気持ち悪くなる人は、かなり鋭い音感を持っていると思います。

ドはドだけじゃない?

音は常にひとつの音(ドだけ、ソだけ、など)が鳴っているわけではありません。
それどころかピアノの「ドの音」と言われている音ですら、「ド」の音がたった一つだけ鳴っているわけではなく、その他たくさんの高さの音が重なっています。これを倍音と言います。
倍音は音の高さではなく、音色として知覚される要素です。倍音の違いが音色の違いとして感じられます。
ピアノの「ド」とトランペットの「ド」が同じ高さの「ド」でも違って聴こえるのはそのためです。
Picture
ピアノのド
Picture
トランペットのド
上図はそれぞれ二つの音の周波数成分を表示したものです。横軸が時間、縦軸が周波数です。
トランペットの方がピアノよりも高い周波数成分が多数見られます。
Picture
ピアノの倍音を個別に聴いてみる
実際に複数の音が重なっているということを実感してみるために、ピアノの上記ドの音を個々の倍音成分だけを取り出して聴いてみたのが左の音源です。下の図はその周波数の図です。
下から順にド・ド・ミ・ソ・シ♭・ド・…のように様々な高さの音が重なっていることがわかると思います。でも、これらの音が同時に鳴るとピアノの音として聴こえるのです。不思議ですね!
絶対音感を持つ人は、この多数の音が同時に鳴っているという状態から、無意識に一つの代表的な音を取り出して知覚します。今回の例だと「ド」という名前を知覚します。

和音の場合

実際の音楽においては複数の楽器が複数の音を同時に演奏することが一般的です。
また使っている楽器は一つだとしてもピアノであればたくさんの鍵盤を同時に弾くことはよくあります。
そんなとき、絶対音感な人の頭の中はまるで聖徳太子ゲームをしているような状態になります。
回りに5人立っていて一斉に「こ」「ん」「に」「ち」「は」と言われるような状態です。
こうなるともうそれぞれの人がなんて言っているかはよくわからなくなります。絶対音感と言えど万能ではないのです。
しかし頑張って訓練をすれば、聖徳太子ゲームでも複数の言葉を同時に解釈することができるようになるでしょう。
同じように絶対音感も訓練を重ねることで複数の重なった音を同時に聞き分けることができるようになります。
訓練というのはとにかくたくさん音楽を聴きながら楽譜を読み、複数の音が重なった状態とそれがどういう構造であるのかという情報を何度もインプットし記憶することです。
楽器屋さんで売られているバンドスコアなんかの多くはこのように訓練して耳を鍛えた人たちが演奏音源を聴いて楽譜に書き起こすことによって作られています。
また、音感による聞き分けが不十分でも、音楽の理論を知っておくことによって聞き取ることのできなかった音を「きっとこの音も鳴ってるんじゃないかな?」と補完することができるようになります。むしろこのようにして鳴っている音を予想できるかどうかの方が音感の有無よりも大事だったりします。

絶対音感があると便利なこと

  • あのプレイヤーのソロ、すごくかっこいいなー。真似したいなー…
  • この曲のサビのコードがすごく好き!どんな音を使ってるんだろう…
こんな時に絶対音感がある人は、悩むことなくフレーズを聞てサッと譜面に起こしたりすることができます(もちろん、きちんと音楽を分析する訓練もしている前提で)。楽器の練習やアレンジをするときに絶対音感はとても便利です。

絶対音感があると不便なこと

  • 歌を聴いても歌詞が頭に入ってこない(楽器の音「ドレミ」の方が耳に入りやすい)
  • ドレミで音楽を聴くのに慣れすぎて他の要素に耳が行きづらい(音の出だし・終わりのタイミング、リズム感など)
これは実際に私が不便に感じるところでもあります。学生指揮をやっていて合奏指導をするとき、どうしても「ドレミ」=音の高さに関する情報だけが優先的に頭に入ってきて、合奏の縦のラインを揃えることなどへの意識が疎かになりがちになります。また、メロディに意識が集中しすぎて他の楽器の音が全然聴けてなかったりしたこともしょっちゅうありました。
単に指揮の経験が不足していただけというのもあるでしょうが、音感があると普通の人はあまり意識しないところで不便をすることがあるのだなと思いました。
あと、絶対音感を持っている人はたぶん暗譜が得意です。音を聞いた時に何度もドレミが頭の中で無意識に反復するので勝手に記憶が定着するのです。
逆に言えば、音楽を忘れるのが下手ということにもなります。仕事中とかでも頭から音楽が離れなくなりがちなのです。
…というような感じで、絶対音感というのは色の名前がわかるのと同じように大したものではないのだということ、人により程度の差があるものだということ、音感そのものよりむしろ理論を知っていることのほうが耳コピにおいては便利だということ、音感を持っている人には音感を持っていない人にはない悩みがあるということを知っていただけたら嬉しいです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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