グロウルとはヘヴィメタルの中でも特にデスメタル・ブラックメタル・ヴァイキングメタル等のジャンルでよく使われる歌唱法で、喉を締めて音程の定まらない雑音のような叫び声を出します。言葉で説明するより聴いてみるのが手っ取り早いと思います。
初めて聴いた人は大抵拒否反応を示すと思いますが、これが不思議とだんだん慣れてくると病み付きになるんです。 Wikipediaにはデスヴォイスのページにいろいろ書いてありますが、デスヴォイスと呼ぶのは日本だけらしいです。Growlとかいいます。 さて、このような声をVOCALOIDで出せないだろうか?と思い、やり方を考えてみました。 最初に考えた方法はVOCALOID Editorで書きだしたWAVにディストーションやアンプシミュレーター等の歪み系エフェクトをかける方法でした。しかしこの方法では元の歌声のピッチ感が消えないため、ハイトーンでシャウトさせたりするのは良いですが、グロウルとは違う感じです。 この方法で昔作った曲がこちらです。 なんかもっと、根本から考え直さないといけないなーと思い続けて早4年…www で、ふとこの前仕事帰りに考えました。そもそもグロウルとはどういうしくみであんな音が出るのだろう? 人間の声は声帯の振動によって作られますが、実は声帯から出る音そのものはとても単純な音です。 声帯はシンセサイザーでいうところのオシレーターです。 声帯から出た音が口から出るまでの間に体が共鳴することでその人特有の音色となり、また口内の開き具合によって「あいうえお」のような聞こえ方が作られます。体や口はシンセサイザーでいうところのフィルターです。 グロウルで歌う場合と普通の歌の場合で異なるのは声帯の振動のしかただけです。口の開き方とかは普通に歌う時と同じです。では具体的にはどのような違いがあるのでしょうか? 普通に歌う時の声帯の振動は規則的で、発振される音は一定の音高を保ちます。オシレーターがサイン波やノコギリ波を発振している状態です。 対してグロウルで歌う時は声帯の振動を無理やり抑えて不規則な振動をさせます。それにより音程感が失われ、雑音のように聞こえます。オシレーターがノイズを発振している状態です。 ということは、VOCALOIDでも不規則に音高が変化するようにすればグロウルボイスが作れるのではないか?と考えました。 具体的には、PITパラメーターをめちゃくちゃにいじるのです。 ピッチの振れ幅が小さいとよくわからないので、PBSは18としました。この辺はお好みで調整しましょう。 さて、これで書きだした音声がこちらです。 おお!なんかそれっぽい!! あとはこれを加工して、よりそれっぽい感じにしてみましょう。 とりあえず低域をばっさりカットしてみました。ピッチが変わることによるグニョグニョ音が気になったからです。 完全にはなくなりませんが、低域成分のノイズが消えるだけでも聞きやすくなります。 まだちょっと迫力が足りないので、エキサイターで高域成分を付加してみました。 ついでにコンプレッサーとリミッターを使って音量を上げまくります。 だいぶいい感じになってきました。それでは伴奏を付けてみましょう。 メタルやー!!! あ、でももうちょっと声低くてもいいかな…ピッチシフターで-7くらい下げます。 グニョグニョ音も目立たなくなって、いい感じです。
もはや初音ミクの面影どこにもありませんが、VOCALOIDでもグロウルな歌声が作れることがわかりました。 めでたしめでたし。 ちなみに、初音ミクV3のSolidの音色が一番それっぽい感じになりました。 VY1も割と良い感じです。
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10月 2018
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